夏と言えばスク水、スク水と言えば脱げにくい、脱げにくいと言えば…
そんなわけで1周年企画&夏企画で、できるだけ短期集中連載予定。3,4回くらい?
あの歳で寮に入っているアロエは色々と大変なんだろうなあ(遠い目
「最近、パンツがヌルッとしてるときがあるの……怖い病気じゃないよね……」みたいな。
最近、気がつくと、ときどきパンツがヌルッとしてるの。
* * *
この日も朝目を覚ますと、おまたが濡れている感触がした。それだけで窓から見える晴れ渡った空が憂鬱に曇ってしまったような気分になる。
……やだ……また、おねしょ……?
アロエは恐る恐る、自らのお股に手を当ててみる……と、ヌルッとしていた。
おねしょ……ではないみたい。
だけどパンツを脱いで広げてみると、布が二重になっているところが黄色くなってて変な臭いがした。おしっことは違うみたいだし、汗でもないみたい。なんなのだろうか?
ヌルッとしていて、乾いてくるとパサパサになってくるみたいだけど……。
なにか、とても危ない病気なんじゃないだろうか。そうだ、きっとそうに違いない。だから身体が危険信号を送ってきているのだ!
でも誰に相談すればいいんだろう?
寮で生活しているのでお父さんもお母さんもいない。みんな優しくしてくれるけど、なぜかこのことを相談するのはとても恥ずかしいような気がする。
深刻な表情で黄色くなったパンツを見つめているうちにいつのまにか時間が経ってしまったらしい。目覚まし時計の針はもうすぐ授業が始まる時間を指していた。
「あっ、もうこんな時間!」
新しいパンツを出している時間はもう無い。とっさに手に持っているパンツを穿くと、ヌルッとした不快な感じがお股に触れた。
休み時間に図書室に行ってみよう。そうすればなんの病気なのか分かるかも知れない。
* * *
そんなわけで場面は午前中の授業が終わり、昼休みに移る。
生徒たちは購買部に行ったり早起きして作ってきたお弁当を広げて各々のグループに分かれて食事を楽しんでいる頃だ。
そんななか、アロエ一人だけは人目を忍ぶように図書室へと急いでいく。
古くなった本の独特な香りで鼻腔が満たされる。
薄暗い図書室は奥まった構造になっていて、知らないジャンルの本棚に入って気を抜くと迷ってしまいそうなほどだ。
「えーっと……この辺、かな……?」
よほど誰も来ないのだろう。
その一角だけは本に薄く埃が被っているし、アロエが歩いてきた床には足跡が残っていた。
分厚いハードカバーの本。
『古代医学大全』と書かれた本を、背伸びをしてやっとの事で取り出すと、一体何年降り積もっていたのかと疑いたくなるような量の埃が舞い上がった。
「けほっ、けほっ」
それでも重たい本を胸に抱えて壁際の机まで持っていったものだから、黒をベースにした制服はすっかり埃で白く汚れてしまった。
だけど今のアロエにはそんなことは些細な問題だった。
もっと大事なこと……いまもヌルッとするパンツの原因を突き止めるためにこれから頑張らないといけないのだ!
……うぅ、お尻のほうまでヌルヌルしてきちゃったよぉ……
ムズムズするしヌルヌルするし、こんな病気、初めてだ。早く調べないともしかしたら死んでしまうかも知れない。
「あら? アロエちゃん、こんなところで珍しい」
突然、後ろから声をかけられてビックリして振り返ると、後ろに立っていたのはマラリヤだった。
紫のロングヘアに胸の開けた紫の制服……大人っぽい雰囲気を漂わせている。
それにくわえてぼそぼそと喋るし、ハ虫類系のペットばかり飼っているものだから、綺麗なんだけど妖艶さも振りまいている。
口癖が『呪うわよ』で、先生にもボソリというから無理もないかも知れないけど……。
そんなマラリヤは、やはりいつものようにボソリと呟いた。
「あんまり本ばっかり読んでるとわたしみたいになっちゃうわよ。アロエちゃんもお友達と遊んだ方がいいんじゃない?」
「……みんな良くしてくれるけど、年が離れてて無理だもん」
「……そう」
素っ気なく呟くマラリヤ。
マラリヤなら何か知っているだろうか? 相談にのってもらえるだろうか?
声を掛けようか……そんな一瞬の逡巡。
その間にマラリヤはふわりと振り返ると陰になっている本棚の方へと行ってしまった。
「え~っと、蛇のエサ、蛇のエサはどこかな……わたしのペットがお腹をすかせているのよ……」
次の授業は湖で水泳。脱ぎにくいと評判のスク水が大活躍(笑)
アロエのおべんきょう2につづく
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