qmaの二次創作。クララ編。
出来るだけ削ろうと心がけているのですけど長くなってしまいました。
『クララのかぼちゃぱんつ3』の翌日、クララは教科書とBLの本を間違ってカバンに入れてきてしまって、よりによって持ち物検査が。
翌日の授業。
ノンジャンル座学の授業では、クララの席は一番後ろの廊下側にある。ただでさえ日当たりが悪いのにクララが座っているものだから暗くスダレがかかっているように見えるし、ジメジメしていてキノコまで生えてきそうな雰囲気になっていた。
だけど良いことだってある。
一番後ろの席からだと教室中を見渡すことが出来るのだ。
今朝もレオンくんとセリオスくんは仲がいいみたい。低血圧気味で不機嫌なセリオスくんに、朝からハイテンションでばんばんとセリオスの背中を叩いているレオンくん。
だけど……夜は……
立場が逆転……?
レオセリからセリレオのレオンへたれ受けへ豹変……きゃっ
頬が赤くなってしまう。
ぶんぶん、首を振って授業の準備をする。
クララの悪い癖。ちょっとしたことでぱんつに汚い染みを作ってしまう……。
はぁ……。
ため息をついてカバンを開けて教科書を出そうとし
そのとき、クララの頬が赤から青へと転じた。
カバンの中に入っていたのは、教科書ではなくて昨晩のおかずだったのだ!!
「ちょっ!!!」
(だ、誰も見てない気付いてないよね……?)
きょろきょろと周囲を確認。
よし、だれもこっちを気にしている生徒はいない。寝ぼけて入れ間違ってしまったのだろうか。それにしてはあんまりだ。
不幸にももうすぐ授業が始まってしまう時間だった。しょうがないから教科書は諦めてノートをとることに専念することにしよう。
* * *
「はーい、授業始めるわよー」
最近目立たないからってメガネを換えてイメチェンを図ったアメリア先生。だけど誰も気付こうともしない。
みんな予習で40個星をとったらすぐにマロン先生にガイドをお願いしているから。
中々静かにならない教室。
朝から高血圧気味なアメリア先生のこめかみに、青い血管が浮かび上がった。
「こらっ! あなたたち! そんなにうるさいんだったら今日の授業は中止! 代わりに今から持ち物検査を始めます!!」
* * *
急に静まりかえる教室。
そんな中で急に挙動不審になった生徒たちが何人かいる。その挙動を一瞬たりとも見逃すまいとアメリアのメガネが意地悪そうにチラリと光った。隠し事を見抜くのは不意打ちのファーストパンチが一番だ。
そしてアメリアが机の間をゆっくりとすすみ、ぽん、と肩を軽く叩いたのは……。
サンダースだった。
叩かれた本人は、口を真一文字に結び、鋭い視線で一点の虚空を見つめている。
「起立!」
「イエスマム」
「休め!」
「イエスマム……」
ごと。
サンダースの袖の中から、黒い物体が落ちたのはそんな時だった。
『L』の字をした、とても見覚えがあるそれは……!
びしっ。アメリアの眉間に深いしわが寄った。
「他にもあったら出しなさい」
「……はっ」
サンダースは然るべき手順で武装を解いていく。
上着のポケットから手榴弾がレモンのようにゴロゴロと出てきて、裏地にはショットガンが仕込んであった。そしてその上着を脱ぐと背中にはグルカナイフが仕込んであり、ベルトにはサバイバルナイフやら拳銃のマガジンやらが連なっていた。
「ベレッタM92、レミントンM870、そしてこれがコルトパイソン。このレモンのような形をした手榴弾はM26A1破片手榴弾。点火から4秒で爆発するようになっている」
次々と陳列されていく黒い塊たち。
武具を机の上に並べていくうちに興奮してきたのだろうか。珍しくサンダースは饒舌になっていた。更に首に巻いてあるスカーフまで外し始める。
「これはマフラーなどの両端に鉛などの重しを入れた、アジアに伝わる隠し武器、ザギーだ。扱うためにはそれなりの訓練が必要になるが、然るべき方法で振り回せば相手の不意をつき打ち据えるも絡みつかせて拘束するも自由自在であろう」
「………………」
まさかのトークに絶句するしかない生徒たち。だけどこれはクララにとってはこれ以上ないほどのチャンスだった。今のうちにオカズを隠さなければ……。
アメリアだけがこめかみを引き攣らせながらも詰問を続ける。
「あら、なんで制服のボタンまで外すのかしら?」
「触らないほうが良い。プラスチック爆弾が詰まっている。おしおきの電気的刺激がある一定以上に達した場合に自爆用に作動するようになっている」
「ひっ」
これにはさすがのアメリアも後退った。それだけじゃない。周りの席の生徒たちも一斉にサンダースから離れて、一番後ろに座っていたクララは壁に挟まれてしまう。
「きゃ……むぐ……苦し……っ」
便秘の机にお腹が圧迫され、思わず身体をかばってしまう……それが、クララの失敗だった。カバンの中で掴んでいたオカズが飛び出して宙を舞い……、
あろう事かそれは近くの席に座っていたアロエの机の上へと落ちてしまったのだ!!
その瞬間が、クララには、まるでスローモーションのように見えた。
「あっ…………終わった…………」
アロエは、何が起こったのか良く分かっていないのだろう。突然降ってきた『本』を見つめて……それを興味津々と言った感じで小さな手で持ち上げて、呟いた。
「なんだろ? この本」
汚れを知らない純真無垢な瞳に、耽美な表紙が映り込む。
「ちょ……アロエちゃん、返して! そんなもの見ちゃダメ!!」
「これクララお姉ちゃんの『ご本』なの? どうしてこのご本は、男の人同士で抱きついてるの?」
ピシィッ
それは、教室中が凍り付いた音か、それともアメリアの背景に稲妻が走った音なのか……おそらく両方だったのだろう。
「あ~ら、クララさん? その本は何かしらね? 授業中にそんなもの読んでたの。………わたしのノンジャンルの授業、そんなにつまらなかったかしら?」
「そ、そんなことは……誤解です……」
「ま、とりあえず没収。返して欲しかったら放課後に地下室に来ることね。フフフ……」
容赦なく没収される本。
そのとき、アメリアの唇の端が妖艶に歪んでいることに気付いている者は誰もいなかった。
次回、地下室編。
『そんな……
汚れたぱんつ……そんなに見ないでください……』
重たいかぼちゃ2につづく
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重たいかぼちゃ1
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