らきすたの二次創作の番外編。
すっかり日が暮れた放課後の陵桜学園校舎……『あなた』は、忘れ物を取りに独り暗い廊下を歩いていた……。
珍しく二人称の短編に挑戦。べ、別に世界樹の迷宮に影響されたわけでは。
この作品を読むまえに、アルテマ・アゲイン5を読んでおくともっと楽しめるかも知れません。
すっかり日が暮れた放課後……。
夕方7時。
この時間になると、校舎内を照らすものと言えば非常口の明かりかトイレの寒々とした照明くらいなものだ。
『あなた』は、明日が提出期限の宿題を教室に忘れてしまったのに気付き、暗くなった廊下を急いでいるところだった。
あいにくの曇天のために月明かりを頼りにするわけにもいかず、非常口を知らせるための不気味な緑色の明かりだけが頼りだった。
ぺたぺたと、上履きの足音だけが不気味に暗闇に溶け込んでいく……。
……と、あなたは女子トイレの前を通るときに、足を止めてしまった。
真っ暗な廊下に寒々とした明かりを落とし続けるトイレへの入口から、奇妙な違和感を感じとったからだ。
トイレの前というのは、どんなに綺麗に掃除したとしても、尿素などの独特な臭いが漂ってしまうものだ。
だけど鼻腔を刺激してくる臭いは、その種のものではない、もっと具体的な腐敗臭だった。
気になって、女子トイレの入口から首だけを突っ込んで中を覗いてみる……と、すえた臭いは茶色い風を伴ってトイレ中に充満しているかのようだった。
なぜ?
寒々と照明に照らされた個室へと続く扉は、全て開いているのに。
誰もいないのに……なぜ?
あなたは、一つ一つの個室を確認しながら……途中誰一人としていない……ついには一番奥へと行きついてしまう。
どうやら臭いの根源はこの個室にあるらしかった。
扉を覗き込んでも、そこには未使用でまっさらな和式便器がポツリとあるだけだった。とてもこのトイレ中に漂っている腐敗臭の発生源とは思えない。
そこで、視線を便器から外し、周囲を一瞥してみると、狭い個室の角に、サニタリーボックスを見つけることができた。
どうやら、臭いの発生源はこの小さな箱の中にあるらしかった。
用もなくあけるのには躊躇いを感じるが、あなたは意を決して秘密の小箱をそっと開けてみることにする。
そこには、女子たちが使い終わって丸められた生理用品と……それらを押しのけるようにして、コンビニのビニール袋が詰め込まれていた。
どうやらコレがこのトイレに充満している腐敗臭の根源らしい。
ビニール袋を開けますか?
………コマンド?
a.あける
b.あけない
つづく。
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