便秘10日目。
今この瞬間も、クララの腸内では腐敗ガスが醸造されていて……
1.クララのかぼちゃぱんつを最初から読む!
2.重たいかぼちゃを最初から読む!
クララだって待ってばかりでは無い。
その時を、ただ待ち続けるのはあまりにも酷すぎる。
だけどどこから調べて良いものやら、膨大な蔵書を誇るマジックアカデミーの図書室と格闘しているうちに二日が経ってしまっていた。
便秘十日目の昼休み、クララは懲りずに図書室に来て調べ物に来ていた。
薄暗い図書室の、更に薄暗い一角……よほど誰も手に取っていない本たちなのだろう。長年に渡って蓄積された埃は気を抜くと制服を汚してしまうほどだった。
この二日で調べてきたジャンル……『毒草』はもうすぐ全ての本を調べ尽くそうとしていた。冬人夏草という名前が分かっているので索引を調べるだけなのだが、いかんせん蔵書が多いのでその分時間が掛かってしまったのだ。
残すは、
『拷問の歴史』という本だった。ぼろぼろで埃をかぶったハードカバーの本。元は違う色だったのだろうけど、今では何かの染みで赤黒く変色している。なんの染みなのかは考えたくもない。
触れているだけでも鳥肌が立ってくる本の索引をめくり、染みに汚れた文字を辿っていくと……、
……あった。
「冬人夏草」
冬人夏草の効能の項。
一瞬で昇天させるのではなく、相手をじわじわと苦しめるには打って付け。
対象者を極度の便秘にし、一ヶ月間は排便を許さない。しかし食欲は従来通りなので、対象者は空腹感を我慢するか腹を膨らませるかの二択を迫られることになるだろう。
冬人夏草を埋め込まれた人間は、憐れ最後に――
ここから先は、赤黒い染みに犯されていて読むことができない。
冬人夏草の治療法・特効薬の項。
満月の夜にのみ、モアイの頭頂部に咲くと言われている面長サボテンの花。花びらを煎じて飲めば便通とともに解毒される
(満月……満月って……昨日だったのに……。次の満月はあと一か月後……? ウソ……。一ヶ月もうんちが出ないなんて……)
他のどこを探してみても、解毒の方法かそれしか書いてなかった。それはつまり……クララの胸中を絶望感が浸食していく。
ぷ、ぷうううぅぅ~~~………
気が抜けてしまったのだろうか。それとも冬人夏草があざ笑っているのか。
むっちりとした下尻を通り抜けて、高いソプラノ系の音がなってしまった。
カボチャの中が一瞬にして毒ガスに満たされ、スカートの中に充満する。
その放屁たるや通常の物の比ではなく、目に染みるような臭気だった。
使用直後の個室に入ったとしても、こんな臭いはしないだろう。腸内で腐敗ガスが醸造されているのだ。
脚の間から黄色いガスが漏れだして辺りに漂い出す。他の生徒たちは気付かないふりをしているけど、みんな同じように顔を伏せてしまっていた。
要領の悪い少女は真っ赤になって涙ぐみ、うつむくことしかできなかった。
恥ずかしくて本を片付けることさえも忘れて外に飛び出してしまう。
中庭にまで走ってくると桃の木の下で息をつく。あんまり激しい運動をするとすぐにお腹が苦しくなってしまう。
「はぁ……はぁ……はぁ………はぁっ」
甘い香りが鼻をくすぐると思ったら、腐った桃に羽虫が集っていた。
元々白かったであろう桃の果実は茶色く腐り、所々どろどろとした果実に足を取られた羽虫の死骸が貼り付いている。
思わず吐き気を催してしまうけど、今、このお腹には、腐った果実よりも酷い臭いを発するものがミッチリと詰まっているのだ。
この十日間食べた固形物が一切排泄されず、お腹の中で腐っていく……この便秘の最後はどうなってしまうのだろうか……?
言いしれぬ不安感に襲われつつも、今この瞬間もクララの腸内に溜まった腐った便は、腐敗ガスを生み出し続けている……。
重たいかぼちゃ8につづく
じわじわと便秘に苦しみ恥ずかしがる女の子を書いてみたいです。
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重たいかぼちゃ7
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