マジアカの問題分岐。
何度それに引っかけられてきたことか……アレでペースを乱されるとその後ズルズルと落ちていってしまうのですよ。
南無南無。
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「第2問。母親に精神的に依存している『マザコン』の『コン』とは……」
「コンプレックス!」
「……コンプレックスの略ですが、『エアコン』の『コン』はなんの略でしょうか……答えは『コンディショナー』……ダメよ~問題は最後まで聞かないと。はい、おしおきいきまーす」
ぐっと開かされる、シャロンのまぶた。アメリアはそこにカトプレパスの瞳を押しつけると、ぞっとするような冷気が足元からこみ上げてきて、身体の感覚を奪い去っていった。
「ああ……染み一つなかった、あなたの太もも……綺麗な灰色の石になっちゃった……ほら、あなたも見てみなさいよ。さっきまで血が通ってたみたいよ」
震える碧眼を、恐る恐る下に向けていく……本心からは見たくはなかったが、見ておかなければそのまま全身が冷たい石になってしまうのではないか……そんな恐怖がシャロンの視線を少しずつ下に下げていく。
尿意を我慢して内股気味になってた脚は、そのままの状態で、脚の付け根まで灰色に変色していた。
「あぁ………冷たいよぉ……足の感覚がないよぉ……」
実際に石となった自分の脚を見てしまったからだろうか……さっきまで強気だったのが嘘のように、空のように青い瞳に涙が満ちると、一筋の雫となって頬を伝い落ちていく。
「もうそろそろね……次の問題間違ったらお腹まで石化しちゃうわよ? そうしたら大変。その膨らんだ膀胱ごとカチンカチンになっちゃうんだから。そうなったら補習が終わるまでおしっこできなくなっちゃうわよ? 今のうちにおしっこ出しておいた方がいいんじゃない?」
「だ、誰が……おもらしなんてするものですか……!」
せめて最後まで品格のある態度を……少女は健気にもアメリアをキッと睨み付ける。それは、彼女にとっての最後の抵抗だった。
「そんな強気な態度、わたし、嫌いじゃないわよぉ? どうやって服従させてやろうか考えるの、大好きなの」
アメリアは、魔法の杖でシャロンの太ももを確かめるように軽く叩く……
コンコン、コンコン、………ポキーン
がくん、とシャロンの身体が落ちた。支えを失ってしまったかのように全体重がロープで縛られている手首にかかる。
「もう一本」
コンコン、………ポキーン
シャロンの手首に更に体重がかかり、ギリギリとロープが軋んだ。
まるで吊し上げられたかのようだった。しっかりと地に足はついているはずだし、ロープが上に上がったわけでも無いのに……なぜ?
それに、今の何かを折ったような音はなんだったのだろうか?
一抹の嫌な予感を押し殺しながら、シャロンは足元に目をやる……そこは、足元さえも見えないほどの闇だった。脚が見えないのに、暗いノイズに隠れて緩やかな『く』の字に曲がった何かが石床に転がっている。
それは、2本転がっているようだった。
だけど何故か違和感を覚える。
いくら真っ暗だからといって、自分の足が見えないと言うことは、無いんじゃないだろうか?
足元に転がっている『それ』が見えているのに、自らの脚が見えない……それが意味するところは……心臓が早鐘のようになり出して、背筋を嫌な汗が流れていく。
足元に転がっているそれは……理解したくない。理解したくないけど……。
「意外と簡単に折れちゃうものなのね。ちゃんとカルシウム摂ってるの?」
ひょいっ、とアメリアが持ち上げたそれは……それを目にした瞬間、シャロンの瞳孔が見開いた。
灰色をした、緩やかな『く』の字の物体は……!
アメリアのおしおきタイム。石化シャロン5に続く
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